エスプレッソマシンの歴史その1

●●  エスプレッソのマシンの歴史 ●●

  ●近年のコーヒーから

コーヒーは中近東で普及した後、17世紀から18世 紀にかけて欧州各地でも愛飲されるようになりました。

1720年にはベネチア(ベニス)で「カフェ・フロリアン」が開店し現在に至っています。

 

しかし、伝来当時の欧州でのコーヒーの飲み方は、コーヒーの粉と砂糖を一緒に煮立てて上澄みをカップに注ぐ方法(トルコ式コーヒー)が主流でした。

 

 

その後欧州では、やや粗めに挽いたコーヒーの粉を煮立てた後にフィルター(布) で濾す(又はフィルター(布袋)に入れて煮立てる)方法や、砂糖の代わりに(あるいは砂糖と共に)牛乳を入れて飲む方法(カフェオレ)が普及しました。

 

 

更 に、コーヒーを煮立てると雑味が出ることに気づいたのでしょうか、お湯の中にコーヒーの粉を入れてフィルターで濾す方法や、コーヒーの粉の上からお湯を注 いでフィルターで濾す方法(ドリップコーヒー)も考案されました。

 

19世紀の欧州では、北イタリアを中心として、コーヒーの抽出速度を上げるために様々な機械が考案されました。

  ●より、美味しいコーヒーを早く飲みたい・・・ その思いから

コーヒーについては様々な抽出方法が考案されましたが、その核は、コーヒーの粉とお湯が如何にして出会いそして別れるかにあります。

 

19世紀の欧州では、コーヒーの抽出速度を上げるために様々な機械が考案されましたが、その核心は、如何にしてコーヒーの粉の間をお湯が素早く通り抜けるように力を加えるかにありました。

 

ドリップコーヒーでは、コーヒーの粉の間をお湯が通り抜ける力は、お湯自身の重みによる重力のみです。ここに更なる力を加えるには、引っ張る、押す、の 2通りの方法があります。お湯を引っ張る方法とは出口側の気圧を下げる方法のことですが、お湯を押し出す方法には様々なバリエーションが考えられます。

出口側の気圧を下げることによりコーヒーの抽出速度を速める機械は1840年代に数種類が考案されました。代表的なのはスコットランド人であるナピア(Robert Napier)氏が考案した真空抽出機ですが、これは現在のサイフォン方式の原型といえます。密閉された容器の中で加熱され沸騰したお湯は、蒸気に押されて別の容器に移動します。

 

お湯が別の容器に移動し終わった時点で加熱を止めると、元の容器に充満している水蒸気は冷やされて水滴に戻り、この際に急激に気圧が下がります。このため別の容器に移動していたお湯は元の容器に引き戻されますが、この際に、2つの容器の間に挟まれているコーヒーの粉とフィルターを通り抜け、コーヒーと なって元の容器に抽出されます。

 

 

真空抽出機とは逆に、力を加えてお湯を押し出すアプローチの機械は、1820年前後より様々なものが考案されましたが、いずれも試作品の域を出ることなく、実用化のための試行錯誤の時代が続きました。

 

実用化された機械が広く公開されたのは、1855年のパリ万国博覧会に 出品されたものが初めてです。1843年にフランス人のデサンテ(Edward Loysel de Santais)氏が考案したこの機械は、蒸気機関を備えたタワー型の大きなものであり、1時間に2000杯分のコーヒーを(ポット単位で)抽出したと伝 えられています。

 

原理的には、蒸気圧でお湯をタワーの上部へ押し上げた後、高低差とお湯の重みを利用してタワー下部のコーヒーの粉へ通す方法でした。現在のマンション屋上にある給水タンクで水道水に圧力をかける方法と同じ原理であり、蒸気圧で直接お湯を押していた訳ではありません。

この機械は注目を集めましたが、余りに も大きく複雑で精巧だったため、結局業務用には普及しません